映画鑑賞『さよなら渓谷』☆☆☆☆☆
広島サロンシネマにて鑑賞。観客多め。
男女がカラダを重ね合うシーンから、映画は始まる。殺風景な部屋、夏の暑そうな部屋、扇風機だけが回っており、2人は汗をかいている。
中盤から、この2人は普通の夫婦でない事がわかってくる。夫に不利な証言をする妻「かなこ」。それを咎めない夫の俊介。被害者と加害者の関係が2人の態度から徐々に分かってくる。
この2人は、実はレイプ事件の被害者と加害者である。加害者と被害者が一緒に暮らすなんてあり得るのか?
それを描いている映画。
セックスをするのは、妻の「かなこ」から誘うシーンが殆どだ。夫の俊介は、それを受け入れるように事を始める。
私には、2人の同意のセックスによって過去の記憶が薄まっていくような感じがした。
人生を狂わす出会いをしてしまった2人。狂ってしまった、狂わされてしまった被害者と加害者。互いに秘密を持ちながら暮らす日々、しかし、当人である2人には隠す必要はない。互いに求め合いながらも、拒絶する。
映画を観る時心掛けていることの1つに、エンドロールが終わるまで席を立たないことがある。この映画は、エンディング曲がクライマックスだと思う。
この映画に関しては、エンディングテーマが流れ出して席を立つ者はいないだろう。なぜなら、歌っているのが、妻「かなこ」であるからだ。
加害者にすら頼るしかなかった「かなこ」がエンディングで声を枯らして歌っている。
今日は何かいいことがありそう…